
毎日叱ってばかりで、自己嫌悪に陥っていませんか?
「子どもは褒めて伸ばしましょう」——育児書や専門家から何度となく耳にする言葉です。しかし、特性のある子どもを育てていると、「そもそも褒めるところなんて一つも見つからない!」と叫びたくなる日もあるのではないでしょうか。
パニック、癇癪、先延ばし、不注意からのミス……。マイナスの行動ばかりが目につき、毎日叱ってばかりで一日が終わり、寝顔を見ながら「また怒ってしまった」と激しい罪悪感に苛まれる。どうか、そんなご自身を責めないでください。それはあなたが親として未熟だからではなく、無意識のうちに「褒めるハードル」が高く設定されているからかもしれません。
「結果」ではなく、「当たり前」に注目する
私たちは普段、「テストで100点を取った」「宿題を最後まで終わらせた」「おもちゃを綺麗に片付けた」といった、目に見える【素晴らしい結果】に対してのみ「すごいね!」「えらいね!」と褒め言葉を使いがちです。
しかし、発達に凸凹のある子どもたちにとって、この「結果」を出すことは、定型発達の子ども以上に膨大なエネルギーを必要とします。ペアレントトレーニング(ペアトレ)の視点では、こうした高いハードルを一旦すべて取り除き、「できて当たり前」と思えるような小さな【行動のプロセス】に注目します。
魔法のテクニック:「行動の実況中継」
具体的にはどうすればいいのでしょうか?答えは非常にシンプルです。子どもが起こした問題のない行動、当たり前の行動を、そのまま言葉にして伝えるだけです。
例えば、なかなか宿題をやらない子どもへの対応を想像してください。「宿題を終わらせた」という結果を待つ必要はありません。
「あ、自分から椅子に座ったね」
「机の上にノートを出したね」
「鉛筆を手に持てたね」
このように、まるでスポーツの「実況中継」のように、子どもの行動をそのまま言葉にして伝えます。「すごいね」と大げさに褒める必要すらありません。「私はあなたの行動をちゃんと見ているよ」という事実を言葉にして伝える技術(注目の技術)こそが、子どもにとって最強の「肯定」になるのです。
見えない努力を認めることで、脳の回路が変わる
特性を持つ子どもにとって、気が散る環境の中で「椅子に座る」ことや、苦手な勉強のために「鉛筆を持つ」ことは、私たちが想像する以上の葛藤を乗り越えた結果です。
「そんな当たり前のこと…」と思うかもしれませんが、その「当たり前」を親が拾い上げ、言葉にして認めてあげることで、子どもは「自分は認められている」「お母さん(お父さん)はちゃんと見てくれている」という深い安心感を得ます。この安心感の積み重ねが、次の行動へのモチベーションを生み出すのです。
100点満点という特別な「金メダル」を探す必要はありません。今日からはぜひ、日常の「当たり前の行動」にスポットライトを当て、そのプロセスを実況中継する練習を始めてみましょう。親自身の「良いところ探し」の視力も上がり、親子関係が少しずつ、確実に穏やかなものへと変化していくはずです。