「宿題やって、そのあと明日の準備してね」 「うん、わかった!」
宿題の指示を出してから10分後、
「まだマンガ読んでるの!? さっき言ったでしょ!」 「えっ…(キョトン)」
この会話、ご家庭で何回繰り返されているでしょうか?
「何度言っても聞かない」「無視している」と親御さんは怒り心頭ですが、実はお子さんには悪気は全くありません。
ただ単に、「耳から入った言葉が、脳内で蒸発してしまった」だけなのです。
今回は、ワーキングメモリ(脳の作業記憶)が弱いお子さんが、指示を確実に実行できるようになる魔法の習慣、「1アクション1メモ」術をご紹介します。
「やる気」ではなく「メモリ」の問題です
ワーキングメモリとは、入ってきた情報を一時的に脳内に留め置き、処理するための「脳内の作業テーブル」のことです。
ADHDやLD傾向のあるお子さんは、この作業テーブルが非常に小さい、あるいは不安定であるケースが多くあります。
親御さんが「宿題やって、準備して」と2つの指示を出すと、最初の「宿題」というボールをテーブルに置いた瞬間に、次の「準備」というボールが来て、前のボールが押し出されて落ちてしまうのです。
つまり、「話を聞いていない」のではなく、「脳のメモリ容量オーバーでデータが消えた」というのが正しい認識です。
保存されていないデータを取り出そうとして怒っても、ないものはないのです。
脳の代わりに「紙」に記憶させる
脳内のメモリを急に増やすことはできません。 ならば、「外付けハードディスク(外部メモリ)」をつければいいのです。
それが、「目の前の紙」です。
今日から、お子さんへの「口頭での指示」を禁止してみましょう。 代わりに、徹底して「視覚化(紙に書くこと)」を行います。
必勝法:「1アクション1メモ」のルール
具体的なやり方は非常にシンプルです。
- 一つの紙に、一つのことしか書かない:大きな紙に「今日のやることリスト」として5個も6個も書くと、それだけで脳が圧倒され、フリーズしてしまいます。 付箋やメモ用紙を使い、「漢字ドリル」とだけ書いた紙を1枚渡します。
- 終わったら「捨てる」快感:そのタスクが終わったら、お子さん自身にその紙をクシャクシャに丸めて捨てさせ(あるいは破らせ)ます。 「終わった!」という達成感と共に、視覚的にもタスクが消えることで、脳のメモリがクリアになります。
- 次のメモを渡す:1枚目が処理されて初めて、次の「明日の準備」と書かれたメモを渡します。 これを繰り返すのが「1アクション1メモ」です。
「指示待ち」ではなく「確認」へ
慣れてきたら、ホワイトボードを使い、自分でToDoを書かせてみましょう。
「次、何やるんだっけ?」とお子さんがフリーズしていたら、「さっき言ったでしょ」ではなく、「ボード(外部メモリ)を見てごらん」と言うだけで済みます。
この習慣がつくと、お子さんは「覚えられない自分」を責める必要がなくなり、「メモを見れば動ける」という自信がつきます。
「言った言わない」の不毛な争いは今日で終わりにしましょう。
必要なのは、親御さんの大きな声ではなく、1冊のブロックメモです。
リバランスでは、こうした「脳の取扱説明書」に基づいた生活改善のアドバイスも行っています。
ぜひご相談ください。