テストで「この時の主人公の気持ちを答えなさい」という問題がいつも空欄…
自閉症スペクトラム(ASD)傾向のあるお子さんにとって、国語の物語文、特に「心情読解」は最大の難関です。
親御さんや先生はつい「主人公の立場になって考えてごらん」とアドバイスしてしまいますが、実はこれ、ASDのお子さんにとっては「空を飛んでごらん」と言われるのと同じくらい無理難題なのです。
今回は、苦手な共感力を使わずに、「論理パズル」として感情問題を正解するテクニックをご紹介します。
なぜ、「気持ち」がわからないのか?
ASDのお子さんは、「他者の視点に立つ(心の理論)」ことが脳の特性上苦手です。
そのため、「もし自分だったら…」と想像させても、「自分だったらそんなことしない」という思考になってしまい、正解にたどり着けません。
しかし、彼らは「ルールに基づいた情報処理」や「パターン認識」は得意です。
つまり、国語を「感情の教科」ではなく、「証拠を探して犯人(正解)を当てる探偵ゲーム」に変えてしまえばいいのです。
感情を「プラス・マイナス」で数値化する
具体的なテクニックの一つが、「プラマイ(+-)読解法」です。
文章中の言葉を、感情ではなく「記号」として分類していきます。
- プラス言葉(+): 嬉しい、楽しい、笑う、光る、温かい、頷く…
- マイナス言葉(-): 悲しい、悔しい、泣く、暗い、冷たい、俯く…
お子さんに「気持ちを想像して」と言う代わりに、「文の中から『プラスの言葉』と『マイナス言葉』に印をつけてみて」と指示します。これなら、感情がわからなくても「作業」として実行できます。
「事実+キーワード=感情」の方程式
印をつけたら、次はそれを数式に当てはめます。
【事実(出来事)】 + 【リアクション(言葉)】 = 【正解の感情】
例えば、
- 事実: 友達に花瓶を割られた(マイナス)
- リアクション: でも、「いいよ」と笑った(プラス)
- 計算: マイナスな出来事が起きたが、プラスの対応をした。
- 答え: 「許す」「寛容」「友情」
普通の子なら「なんとなく」解くところを、ASDの子は「AだからB、よってCである」という論理で解きます。
「心で感じる」必要はありません。「頭で計算」すれば、テストの点数は取れるのです。
辞書という「武器」を持たせる
もう一つ重要なのが、「感情語彙のインストール」です。
ASDのお子さんは、感情のバリエーションが「快(いい気分)」か「不快(嫌な気分)」の2種類しかないことが多いです。
- 「胸がチクッとした」→「罪悪感」
- 「顔が熱くなった」 → 「羞恥心」または「興奮」
こうした「体の反応」と「感情の名前」をセットにして、英単語のように暗記してしまいます。
彼らにとって国語は、感性の科目ではなく、暗記とロジックの科目です。
「冷たい子」ではありません
「計算で人の気持ちを解くなんて、冷たいんじゃないか?」と悩む必要はありません。
社会に出た時、相手の表情や言葉から「あ、今この人は怒っているな(マイナスだな)」と論理的に分析できることは、立派な処世術であり、優しさの形です。
リバランスでは、共感を強要せず、お子さんの得意な「論理的思考」を使って国語を攻略する指導を行っています。
「わからない」を「解ける」に変えるパズル、一緒に解いてみませんか?