神奈川県にはクリエイティブスクール、フロンティアスクールという支援教育を行う普通高校があります。
このページではそれぞれの特徴を述べていきます。
クリエイティブスクール
クリエイティブスクールは「生徒一人ひとりの未来を創造する(create)学校」というコンセプトのもと、主に発達障害(LD・ADHD・自閉スペクトラム症)・グレーゾーンなどによって小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒や不登校生を支援する全日制・学年制の普通高校です。
学習意欲を高め、基礎学力を身に付けることを目的としています。
高校入試の特徴
クリエイティブスクールは主な対象者が「小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒」「不登校生」なので高校入試の際に学力判定の試験はありません。
入試の際には、内申書と面接、自己表現検査(スピーチ・グループディスカッションなど)で考査を行います。
カリキュラムの特徴
クリエイティブスクールのカリキュラムは「1クラス30人以下の少人数制」「担任と副担任の複数担任制」「短時間の朝の基礎学習」という仕組みによって、基礎から学ぶことが可能ですので、学力に遅れがある生徒も安心できる環境です。
学習以外にも、コーディネーター、スクールカウンセラーや外部機関等と連携した組織的な教育相談体制・支援体制が構築されているため、発達障害(LD・ADHD・自閉スペクトラム症)・グレーゾーンや不登校経験者でも安心して学べる環境が整っています。
また、キャリアカウンセラーを中心に、地域や企業と連携した「キャリア教育」が充実しているという特徴もあります。
高校入試の際に内申点や学力判定の試験が無いとはいえ、卒業には74単位の修得が必要なので、遅刻や欠席が多ければ進級や卒業は難しくなります。
それぞれのクリエイティブスクールの特徴
クリエイティブスクールは通常1クラス30人以下の少人数制のクラス編成ですが、田奈高校は1年生と2年生の数学・英語は1クラスを2つに分け、1クラス15人程度のきめ細かな指導が実施されます。
また、1年生を対象とした「田奈ゼミ」という放課後の補習制度も設けられており、国学院大、横浜国大、早稲田大等の大学生や大学院生による学習支援ボランティアが学習支援を行います。
体験重視のキャリア教育を掲げ、企業と連携し、職業インタビューや職場見学を行なっています。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は約1割です。
釜利谷高校は、1年生の英語コミュニケーションについては、学習進度に応じて1クラス20人程度の少人数制で授業を実施します。
さらに1年生の月曜から木曜の1時間目を2つに分け、前半は「ベーシック」として漢字及び視写・聴写などの学習の基礎能力を鍛え、後半は「教養」として主に中学までに国語・数学・英語の基礎学力の定着を図ります。
また、「土曜教室」「サマーセミナー」という補習制度もあります。
カリキュラムにSSEというソーシャルスキルトレーニングが組み込まれていることも特徴の一つです。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は約1割です。
横須賀南高校は、1年生の数学と英語については、学習進度に応じて1クラス20人程度の少人数制で授業を実施します。
また、1年生には必修科目の「コミュニケーション技術」があり、カリキュラムにソーシャルスキルトレーニングが組み込まれていることも特徴の一つです。
企業や学校を招いての説明会、面接練習、履歴書の書き方講座などの指導の充実しています。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は1割未満です。
クリエイティブスクールは通常1クラス30人以下の少人数制のクラス編成ですが、大井高校は1年生の数学・英語のクラスをさらに少人数に分け、きめ細かな指導が実施されます。
「福祉」の授業があり、「介護職員初任者研修」修了の認定を受けることもできます。
国と神奈川県からキャリア教育の研究指定を受けており、地域との交流も小学校・中学校・高校・専門学校との連携、ボランティア活動、企業でのインターンシップ活動など、幅広いキャリア教育の充実を図っています。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は1割未満です。
クリエイティブスクールは通常1クラス30人以下の少人数制のクラス編成ですが、大和高校は1年生の数学・英語は1クラスを2つに分け、1クラス15人程度のきめ細かな指導が実施されます。
また、学習支援ボランティア等を活用した補習制度があります。
「キャリア支援」が充実しており、平成28年度キャリア教育優良学校として文部科学大臣から表彰されています。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は約1〜2割です。
2022年入試倍率
学校名 | 定員 | 応募者 | 倍率 |
神奈川県立田奈高校 | 158 | 75 | 0.47 |
神奈川県立釜利谷高校 | 238 | 142 | 0.60 |
神奈川県立横須賀南高校 | 118 | 116 | 0.97 |
神奈川県立大井高校 | 158 | 85 | 0.53 |
神奈川県立大和東高校 | 238 | 225 | 0.95 |
フロンティアスクール
フロンティアスクールは主に発達障害(LD・ADHD・自閉スペクトラム症)・グレーゾーンなどによって小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒や不登校生を支援する多部制・定時制・単位制の普通高校です。
午前部、午後部の2部制(定時制)の昼間の定時制で、起立性調節障害や睡眠障害によって朝起きられない生徒にとっても選択しやすい仕組みとなっています。
高校入試の特徴
フロンティアスクールはクリエイティブスクールと違い、学力判定の試験があります。
入試の際には、内申書と面接、学力検査(英語・国語・数学の3教科)で考査を行います。
カリキュラムの特徴
フロンティアスクールも普通高校になるため、卒業には74単位の修得が必要です。
定時制なので通常は卒業までに4年間が必要となりますが、所属している部以外の授業を受けるなどによって単位を多く履修すれば、3年で卒業することも可能です。
国語・社会・数学・理科・英語の主要科目の義務教育課程の学び直しを含むカリキュラムとなっており、また各学校ごとに特色ある授業が用意されています。
それぞれのフロンティアスクールの特徴
横浜明朋高校は2年までは中学校までの学習の学び直しを中心に行い、3年以降は個々の興味関心や進路に合わせ選択科目を受講します。
選択科目は 「フードデザイン」「幼児教育音楽」「社会福祉基礎」など様々なものが用意されています。
また、ユニクロと協力して、子供服のリサイクルのボランティア活動にも取り組んでいます。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は1割未満です。
相模向陽館高校では、国語・社会・数学・理科・英語の5分野を週に合計3時間学ぶ「ステップ」という義務教育課程の学び直しの仕組みがあります。
また、「すこやか(総合的な学習の時間)」という心身の健康を適切に管理し、改善していく能力を育む授業や「職業一般」という進路選択のための知識や情報を得ることを目的とした授業といった独自の授業も設けられています。
「ライフスキル教育」というソーシャルスキルトレーニングの取り組みも行っている学校です。
就職志向が強く、卒業生のうち大学・短大への進学率は1割未満です。
2022年入試倍率
学校名 | 定員 | 応募者 | 倍率 |
神奈川県立横浜明朋高校 | (午前)133 / (午後)133 | (午前)103 / (午後)80 | (午前)0.77 / (午後)0.60 |
神奈川県立相模向陽館高校 | (午前)130 / (午後)130 | (午前)130 / (午後)88 | (午前)1.00 / (午後)0.68 |